2013.05.14
高齢者の歯と口の中
いつまでも自分の歯で食事ができるのは、健康だと感じる大きな条件のひとつであり、自分の歯で食べるということは、生命維持に直接つながる程に大切なことです。
8020運動では80歳で20本が目標ですが
70歳で11本、80歳で4本が現実です。
さて高齢者の口の中はどのようになっているのでしょうか
『咬耗と摩耗』 長年歯を使っていると、咬み減ったり磨き減ったりします。食事や発音に問題なければ大丈夫ですが、食べカスがはさまり易かったり、しみたりすることがあれば受診をおススメします。
『歯根面の露出』 歯周病の場合も含めて加齢により歯肉が下がる傾向があります。露出した歯根は少し軟らかい組織なので、むし歯になりやすい傾向にあります。
『エナメル質と象牙質』 歯の最も外側のエナメル質という組織とその次の象牙質という組織は一般的に硬くなります。硬い事はいい事のように思えますが、弾力性に乏しくなる事から割れたり欠けたりし易くなります。
『歯髄』 歯の神経と呼ばれる歯髄も線維化や脂肪化のために容積が狭くなります。これ自体は問題ありませんが、神経の治療が必要になった際には、治療が困難になります。
『唾液』 加齢によって量は減少します。唾液にはいくつもの重要な働きがあって、唾液量が減るのは困ります。細菌に感染しやすくなったり義歯が使いにくくなるなどの影響が出ます。
『痛みが感じにくくなる』 痛みの感じ方が少し鈍ることがあります。口の中の傷などに注意が必要です。
では、美味しく食事をし、いつまでも健康で長生きするためにはどうすれば良いでしょう…
残っている歯があれば、できるだけ長くつかえるように手入れを怠らないようにしましょう。
すでに全く歯を失ってしまっている場合は、義歯の乗っている顎の骨を大切にしましょう。合わない義歯をいつまでも使っていたり、合っているからと調整をせずに使用していると、顎の骨は少しずつですが減っていきます。
毎日の手入れは勿論大切ですが、定期的に歯科医院に来て手入れと検診をしましょう。
歯科衛生士 山口玲子